2025年「植物花粉の急速な目覚めを支える巨大タンパク質VPS13の発見」
花粉は植物の作り出すユニークな細胞で、雄しべでつくられて成熟した後は休眠している一方で、雌しべについた後は急速に成長して受精に向かって競争する、という動静相反する性質を併せ持っています。しかし、なぜブレーキ状態から急速に加速できるのか、という疑問はほとんど解明されてきませんでした。 この研究では、あらゆる真核生物で保存されている巨大リン脂質チャンネルタンパク質VPS13の一種を植物が応用して、花粉の急速な目覚めを可能にしていることを明らかにしました。VPS13は花粉が休眠状態から活性化するために必要で、さらにカルシウムシグナル伝達を受けて細胞分泌系を花粉細胞内で正しく局在させることで発芽へと導くことが示唆されました。